鍼灸(はりきゅう)ノート 理論 No.5

鍼灸(はりきゅう)の効能

鍼灸(はりきゅう)への疑問

 日々の臨床でよく「鍼灸は何に効くの?」「どうして効くの?」という質問を受けます。最もな疑問です。体に鍼を刺すと健康になる?謎ですよね。今回はその辺りについて説明したいと思います。

鍼灸(はりきゅう)の効果

 鍼灸(はりきゅう)は、科学的に以下の効果が確認されています。
・痛みの軽減
・筋緊張の緩和(筋肉をほぐす)
・内臓の調子を整える
・ストレスの緩和
・ホルモンバランスの調整
・免疫力を高める

鍼灸(はりきゅう)は反射作用

 これらは体性ー自律神経反射という生体機能で説明がつきます。この反射は脊髄反射上脊髄反射の2種類あり、脊髄反射では交感神経が上脊髄反射では副交感神経が働きます。腹部に鍼灸刺激を加えると脊髄反射が起こり交感神経の作用で過活動している内臓の調子を整えることが出来ます。手足に鍼灸刺激を加えると上脊髄反射が起こり副交感神経の作用で、内臓を活発にし、血行循環を促し、筋肉の緊張を緩め、脳のリラックス効果も確認されています。他にも、Tリンパ球やNK細胞(癌細胞を攻撃する)の増加も確認されており、免疫力が高まることも立証されています。さらに、脳内でモルヒネ様の物質(エンドルフィンなど)が分泌されることも確認されており、それにより鎮痛効果があると考えられます。

まとめ

 以上の作用はすべて人間が元来持っている自然治癒能力です。つまり人間は元々病気や怪我を自分で治す力を持っていて、鍼灸はそれらを上手く発動できるようにきっかけを与えているだけなのです。当然、自然治癒力には個人差もあり、必ずしもすべての方に同じ効果が出るとは限りません。自助努力も必要ですし、疾患によっては他医療との連携も必要となります。決して万能ではない。しかし、薬などを使わない身体に優しい安全な治療であることは確かです。
 これからも更に研究は進んでいくと思います。それにより、多くの方へ鍼灸の理解が広まることを願います。

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<あん摩>

発症地:日本
接触:衣服や手ぬぐいなど布の上から行う。
方向:身体の中心から末端に向かって行う。
目的:筋肉を動かし凝りを緩和し動脈血流を促進させる。
医学分類:東洋医学

<マッサージ>

発祥地:ヨーロッパ
接触:オイルやパウダーを塗って素肌の上から行う。
方向:身体の末端から中心に向かって行う。
目的:皮下静脈やリンパの流れを促進させる。
医学分類:西洋医学

 以上があん摩とマッサージのおおまかな違いです。他にも東洋医学であるあん摩には、気の流れやツボなども考慮した手技になっていたり、マッサージは揉むより摩る手技の方が多かったりと、それぞれに特徴があります。
 ちなみに当鍼灸(はりきゅう)院で行っているのは主にあん摩です。しかし、症状によってはマッサージの手技も取り入れて施術を行います。どちらが効くということではなく、患者様の状態に合わせて、互いの特徴を活かしながら使い分けることで、より高い施術効果が得られるものと私は考えています。そして、鍼灸治療と組み合わせることで更に相乗効果が得られ、心身のバランス調整が出来ます。
 日々の体調管理や健康の保持増進に、ぜひ鍼灸マッサージを定期的にご利用下さい。

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