鍼灸(はりきゅう)ノート 医療 No.4

医の倫理

医の倫理とは

 私が行っている鍼灸マッサージは、本来医師が独占している医業の一部を開放しているもので、れっきとした医療行為です。当然免許を有する者にのみ、その権利は与えられおり、厳しい国家試験に合格しなければ、その権利を有することも出来ません。
 医療従事者として医業を行う際、当然ながら「医の倫理」に従い行動することが求められます。医の倫理は1948年にジュネーブ宣言にて国際基準が出されましたが、それは古代ギリシアの医師ヒポクラテスにより出された「ヒポクラテスの誓い」が基となっています。
 ヒポクラテスの最大の功績は、原始的な医学から迷信や呪術を切り離し、医学を経験科学へと発展させたこととされていますが、それ以上に臨床を重んじ哲学的な医学を批判し、常に患者を第一に考える姿勢が、現代でも医学の父・医聖と呼ばれる所以だと思います。これは「病気ではなく病人を診る」という東洋医学の考えに共通するものであり、医学に西洋も東洋も関係ない、同じ人間を診ているという私の考えにも繋がっています。

医療人として

 医の倫理の中に「自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。」というものがあり、これを私は最も重んじています。世間には無駄に大量の薬を処方したり、必要以上に通院を指示したり、自らの利益のために患者を利用する医療従事者や、それを装う無免許施術者が横行していると耳にします。それが事実であれば、非常い嘆かわしいことです。
 医療は人が健康で楽しく生きてていくために必要不可欠な存在です。それを扱う人間は、その自負の念を持ち続けると共に、倫理観も忘れてはいけないと考えます。どんなに時代が変わっても「医の倫理」は変わらない。私も肝に命じて、日々の臨床に取り組みたいと思います。

ヒポクラテスの彫刻ヒポクラテスの肖像

ヒポクラテス
(紀元前400年頃~紀元前370年頃)
医学の父・医聖・疫学の祖などと呼ばれている古代ギリシアの医師。

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