鍼灸学会レポート No.12

2014.04.28

公立岩瀬病院院長 三浦純一先生公立岩瀬病院院長 三浦純一先生

昨日は、郡山市で行われた私が所属する福島県鍼灸師会の平成26年度会員総会と、同会主催の春季学術講習会に出席してきました。天気も良く、大勢の参加者で賑わいました。

今回の講習会は「県民のための公開講座」という名目で、鍼灸師だけでなく、一般の方も参加できる講習会でした。講師は公立岩瀬病院院長の三浦純一先生(写真)。地域医療を実践されている病院の取り組みや、これからの方向性など、将来の医療の在り方について熱く語って下さいました。特に震災時、病院自体も相当被害を受けた中で、地域の農家と連携して風評被害と戦ったり、災害FM局を院内に設立し地域に情報を発信したりと、多職種と協働で地域と関わり、あの混乱に立ち向かったというお話には、非常に感銘を受けました。


公立岩瀬病院には、院内に鍼灸科が設置されており、鍼灸が適応となると思われる入院、外来患者に鍼灸治療を施している珍しい病院です。鍼灸科を置くきっかけは、三浦先生ご自身の鍼灸治療で頭痛が改善した経験からだそうです。鍼灸の即効性は医師も認めるものだということですね。医師不足が懸念される福島県において、鍼灸は使える医療資源だと言って頂けたのは嬉しく思いました。


講演の最後に、鍼灸との連携について、2つの課題を挙げられていました。一つは治療の終わりはいつなのかわからないということ。もう一つは保険制度について。なるほど。この辺りはお医者様だなぁと感じました。で、ここからは私の個人の考えを書きます。鍼灸師の総意ではないので勘違いされないようご注意ん下さい。

まず、治療の終わりという話ですが、鍼灸に終わりはないと思います。しいて言うなら亡くなるまで。鍼灸医療の最大目標は「未病を治す」こと。未病とは病気になる前の健康な状態。健康な状態のうちから治療をし、病気や怪我の予防が出来ることが鍼灸の最大の利点です。ですから、定期的に鍼灸を受けて健康なまま明るく楽しく天寿を全うし安らかに旅立つ。これは人間としてとても幸せなことだと思います。病気や怪我をする人が少なくなれば医療費も削減されますし、国庫や国民全体にとっても有益なはずです。

そしてこの考えは保険にも繋がります。そもそも医療保険とは病気や怪我をしてしまった際、多額の医療費を支払わなくても良いように掛けているものです。鍼灸は「未病治」、予防をしているわけですから、保険が使えないのは当然です。予防接種にも健康診断にも保険は利きませんよね。それと同じです。現在鍼灸は一部保険適応になりますが、それは予防ではなく疾患になってからのこと。その保険を拡大していこうとなると、鍼灸の利点である未病治が行えず、行政との様々なしがらみの中で本来の姿を見失ってしまうのではないと私は危惧しています。

しかし、格差社会が拡大している昨今、医療格差も大きな問題です。所得の少ない方は、まともな医療を受けられないことになりかねません。鍼灸を受けたくても受けられない。本来は予防出来た疾患なのに・・・。ということもあるかも。ですが予防に保険は使えない。ならば所得の少ない方には公的扶助をして頂ければ良いのではないかと考えます。予防接種や健康診断も自治体でお金を出したりしますよね。現在、福島市では65歳以上で一人暮らしの方、寝たきりの方とその介護者の方に対し、年間12000円分の「はり・きゅう・マッサージ助成券」が支給される制度があります。保険よりもこういう制度を拡充して頂き、年齢や障害ではなく所得で対象を制限して補助金を出してもられれば、医療費も軽減出来ますし、鍼灸という医療資源を国民が多いに活用できると私は考えます。


などとずらずら書きましたが、あくまでこれは私個人の妄想です。鍼灸師会はこのような動きはしておりませんし、話も出ておりません。残念ながら・・・。

さて、今日はちょっと長文になってしまいました。最後まで読んで下さった方がいたら嬉しいです。お疲れ様でした。とにかく、鍼灸は国民にとって必要な医療です。誇りを持って、これからも臨床に励みたいと思います。

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