鍼灸学会レポート No.8

2011.07.12

先日、郡山市の国際メディカルテクノロジー専門学校で行われた全日本鍼灸学会東北支部学術集会に参加してきました。会場が学校であったためか、若い鍼灸学生が会場を埋め尽くしていました。勉強熱心で素晴らしいです。

今回の内容は、「会津医療センターの開設と統合医療 」というテーマで、講師は福島県立医科大学教授三渚忠道 先生。「鍼刺激による内臓機能の調節 」というテーマで、講師は筑波技術大学名誉教授佐藤優子先生。 「不妊に対する鍼灸治療 」というテーマで、講師は赤門鍼灸柔整専門学校講師樋口秀吉先生。以上の三つの講演がありました。

現在の日本の医療は、西洋医学を基礎とした近代医療が中心で行われており、東洋医学を基礎とする鍼灸などの伝統医療はほとんどの病院で扱われることはありません。しかし、佐藤優子先生のお話にもありましたが、鍼灸の身体に対する効果の研究は進んでおり、西洋医学的にも根拠が示せるようになってきましたし、樋口先生のお話でも不妊治療は鍼灸を行うことで体外受精や人工授精の成功率が上がるということで西洋医学との併用でより効果を高めることが出来ると思われます。そうした近代医療と東洋医学などのその他の医療を統合して患者さんを診ていこうという考えが広がってきています。それが統合医療です。

三潴先生は東洋医学の中でも漢方薬を使われる医師で、近代医療では手に負えなかった患者さんを漢方薬で救った事例をいくつか紹介してくれました。私も病院など様々な医療機関で治療を受け一向に改善しなかった患者さんが、鍼灸治療でみるみる改善していく姿を何度も目の当たりにしています。これは西洋医学より東洋医学が優れているとか言う話ではなく、双方それぞれに得手不得手があり、患者さんに合わせてそれぞれの利点を活かして治療を行うことで今まで以上の効果が期待できるということだと思います。

しかし、現時点では法律の問題など色々面倒なことがあり、西洋医師と我々が一緒に患者さんを診ていく時代が来るには、まだまだ相当時間がかかりそうです。もしそうなったとしても、西洋医の指導の下で鍼灸をするような形では鍼灸本来のスペックを発揮できないかもしれません。鍼灸師の質の問題もあります。現在の免許制度では医師と対等の立場にはなれないでしょう。ホント色々難しいです。

三潴先生は統合医療といっても西洋医学も東洋医学もそれぞれにこだわって追及していく人間が必要だと言っていました。確かにその通りです。こだわりから物事は発展します。しかし、信念を持つのは良いですが、相手を批判したり否定したりするようになってはいけないと思います。双方を理解し尊重し合った上で切磋琢磨していくことが必要だと私は思います。西洋医と我々がそういった関係になれれば、統合医療も夢ではないのかもしれませんね。

私的には医療に西洋も東洋もないと思っています。診るのは同じ人間。苦しんでいる患者さんです。その苦しみから解放してあげる手段が医療であり、西洋でも東洋でもどっちでも良いはずです。私は鍼灸師ですから鍼灸を使って医療を行います。少しでも患者さんのお役に立てるように、これからも自分を磨いて成長していきたいです。

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