鍼灸(はりきゅう)ノート 歴史 No.3

足三里

芭蕉も使っていた!

「ももひきの破れをつづり、傘の緒つけかへて、三里に灸すうるより、松島の月まづ心にかかりて……」

これは、松尾芭蕉の「奥の細道」のはしがきにある一文です。

ここで言う「三里」とは「足三里」というツボのことで、芭蕉は足三里にお灸をしながら旅をしていたと記しています。

足三里は前脛骨筋という歩行に最も重要な筋肉の部位にあり、足三里に灸をすることによって前脛骨筋の疲労を回復させていたと思われます。

「疲労でまったく歩けなくなった人が三里も歩けた」ということから足三里と名付けられたという説もあるほどです。

また、足三里は胃腸の調子を整える作用があり、慣れない土地での飲食により食あたりを起こさないように、病気の予防という意味でも用いていたと考えられます。

昔は、「三里に灸の跡がない者とは旅をするな」とも言われていたそうです。

旅人にとって、無くてはならないツボだったということですね。

万能のツボ

足三里は昔から万能のツボとして広く世間に知られていました。

そのため、ツボの代名詞として奥の細道を初めとした様々な文学、落語、歌舞伎などに登場しています。

古人に習い、我々も日々の体調管理に足三里を活用していきましょう。

足三里の場所

足三里向う脛を骨に沿って親指で軽く下から擦り上げていくと骨の膨らみにあたり自然と指が止まります。

この部の外側親指の幅だけ離れた所です。

ツボの部位は個人の体型にもよりますので、その辺りで押すと最も痛い、もしくは気持ちのいい部位で良いと思います。